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熱と湿気




■熱は一般に高温部から低温部へと移動する性質を持っています。その移動の方法を伝導、対流、放射の3つにわけて考えます。
■熱と湿気の名前の検索は、索引をご利用ください。
熱の移動と遮断断熱工法湿気と結露









●伝導
 スプーンの先を熱すると柄の方まで熱くなります
 これはスプーンの先の熱だけが柄の方へ移動したために起きた現象です
 このように、物質の中で熱が移動する現象を伝導といいます
 この現象は同じ物質の中でも、また接触した異なる物質の間でも起きます


●対流
 鍋で湯を沸かすとき、熱を加えるのは鍋の底の部分だけですが、湯は全体がほぼ同じ温度で上昇していきます
 これは、暖められた湯が熱をもつと膨張して軽くなり上方へ移動し、代わりに冷たい水が下方へ動くためです
 このように、水や空気などの流体はもの自体が熱をもって移動します これを、対流といいます

●放射
 熱い物体と冷たい物体の間に遮る物体がない場合、熱は物体と物体の間の空間を、電磁波(熱線)によって伝わります
 これを、放射といいます
 放射は、空気中でも真空中でも伝わりますが間に障害物があれば、そこで遮られてしまいます






熱の移動と遮断



●熱の移動
 建物の外壁に日射があたって暖められると、この熱は一部は対流によって外気に逃げますが、他は伝導によって壁の内側に伝わります
 壁の中に空気層がある場合、この部分では対流と放射によって内側の壁に熱が伝えられます

●熱の遮断
 壁の中に断熱材を入れると表面のアルミ箔が放射による熱線を反射し、中の熱伝導率の小さい断熱材が伝導による熱をさえぎります
 また、断熱材は対流による空気の動きもおさえます
 このように、断熱材は熱移動の3形態をすべてさまたげることができます






断熱工法



●外断熱+通気層
 「外断熱」工法で空気層を2重にして、空気の循環をねらった工法です
 理論的には理想の工法で、最近多くみられるようになりました


●外断熱
 「外断熱」とは、建物をそっくり断熱材で包み込んでしまう断熱工法です
 壁自体を断熱材で覆いますので、壁の温度変化の少ない、断熱効果の高い工法です
 「壁内断熱」から、この「外断熱」に切り替えるところが多くなっているようです


●壁内断熱
 従来の壁の中に断熱材を入れる工法です
 施工が悪いと壁の中で結露が発生し、カビが生えることもあります

●内断熱
 「外断熱」とまるっきり逆の考え方による工法です
 日本の従来のRC(鉄筋コンクリート)工法が、ほとんどこの「内断熱」かもしくは「無断熱」です
 壁自体の温度差が大きく、エネルギーロスが多く、なお、カビなどの問題があるといわれています






湿気と結露

◆乾いた空気1キログラム中に含まれる水蒸気の量が「絶対湿度」です。「相対湿度」とは、ある温度の空気が含むことのできる最大の水蒸気量と、実際に含んでいる水蒸気量を比較しパーセンテージで表したものです。絶対湿度は空気中の水蒸気の量を示し、相対湿度は空気の湿り具合を表します。



●湿り空気線図
 室温と湿度の関係を中心に空気の状態を示す相対湿度露点温度絶対湿度などをグラフにしたもの


●結露現象
 ある湿度をもった空気の温度を下げていくと、空気中の水蒸気量が飽和状態に達します
 この温度を露点温度といい、これよりさらに温度を下げていくと余った水蒸気が凝縮して水滴となります
 これを、結露といいます


●壁内の結露
 室内と室外に温度差があると、壁の中で温度勾配ができ、壁の中の水蒸気量は室内側と同じになります (熱も水蒸気も高い方から低い方へ移動します)
 このとき、壁の中の温度が露点温度以下になると、結露ができます
 これが、カビの原因や木材を腐らせるもとになります

●壁内の結露防止
 壁内の結露を防ぐには、室内の水蒸気が壁の中へ入らないように、壁の室内側に断湿層を設けることと、壁が冷えないように、室外側に断熱層を設けることが必要です





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