Interior Zukan
                                             

硝子




■硝子そのものの歴史は古く、紀元前5世紀頃までさかのぼります。建築に硝子が一般的に使われ始めたのは明治の頃で、ヨーロッパでは鉄と硝子を使って、1851年クリスタルパレスが建てられました。今では、建築に欠かせない素材になっています。
■硝子の名前の検索は、索引をご利用ください。
硝子の製法種類特殊機能装飾その他硝子構法





硝子の製法



●フロート法
 溶解したガラスを窯から送り出し、ガラスより比重の重い溶解金属が入っているフロートバスの上を浮かせながら流す方法
 この流れる早さによって厚みが決まる

●ロールアウト法
 型板、網入りガラスを作る方法
 窯からでてきた、溶解したガラスを2本の水平なロールの間に通してから、冷却、切断する
 フロートのような、完全な平滑のガラスを作ることは出来ないが、網入りの場合は、磨きの行程がはいる






硝子の種類



●フロート板ガラス
 最も一般的な、透明板ガラス
 高い平面精度があり、透視性、採光性にも優れる
 磨きが掛かっていない、「火づくり」のもの


●型板ガラス
 型模様をガラスの片面に写した、不透明な板ガラス
 30年〜40年頃柄の種類が、いろいろ生産されたが、カーテンやブラインドに遮蔽性が取って変わられ、今は、おとなしい柄が主流
 インテリアでは、逆にレトロっぽい柄に人気がある


●すり板ガラス
 透明なガラスの片面を、金剛砂や金属ブラシなどでつや消し加工を行った物
 透明ガラスより、強度が3分の2程度になり、汚れがつきやすく、落ちにくい欠点がある


●網入り板ガラス
 金属網を封入したもので、破損しても、破片が飛散せず防火、安全性の面で優れている
 ガラスの小口が濡れ、金属が錆びると、ひびが入ることがあり、施工上注意が必要
 網入りガラスは火災・地震の際には安全であっても、強度的には普通の1枚ガラスとなんら変らず防犯上の性能はありません


●線入り板ガラス
 金属網の代わりに金属線が入った物
 磨き工程を経ているので、価格が高い


●熱線吸収ガラス
 原料に、微量のコバルト、鉄、セレンなどの金属を着色した透明ガラス
 ブルー、グレー、ブロンズなどがある
 太陽エネルギーを吸収し、室内の、冷房効果を高める


●熱線反射ガラス
 表面に、反射率の高い金属酸化物の膜をコーティングしたもの
 太陽熱を反射し、室内の、冷房効果を高める
 ハーフミラー効果があり、カーテウォールのビルなどによく使われている


●複層ガラス(ペアガラス・トリプルガラス)
 板ガラスの間に乾燥空気を封入し、断熱性を高めたガラス
 単板ガラスと比べると、熱貫流率は約2分の1に減少するため冷暖房の効率がよくなり、結露もしにくい
 室内側のガラスに特殊金属膜をコーティングしたペアガラスや乾燥空気の代わりに、断熱効果のあるガスを注入して、さらに効率を良くしたももある


●合せガラス
 2枚のガラスの間に、特殊中間膜(ポリビニルブチラール)をはさんだガラスで、破片が飛び散らず、障害物も貫通しにくいため、自動車のフロントガラスなどに採用されている
 中間膜に、装飾フィルムなどをプラスして、張り合わせた装飾合わせガラスなどもある
 防犯ガラスと合わせガラスの違いは、中間膜の厚さの違い、防犯ガラスの中間膜は0.76o以上、合わせガラスの中間膜は0.38oしかありません


●強化ガラス
 板ガラスを強化炉に入れ、約600℃に熱した後、急冷したもので、強度は板ガラスの3〜5倍で、万が一割れても破片が細かくなり大けがを防ぐ
 強化後は、切断などの加工が出来ないため、発注は、実寸法を出して行う
 強化ガラスにも防犯性能は期待できず、泥棒の手にかかると一般的なガラスと同じように破られてしまいます


●曲げガラス
 板ガラスを、曲げた製品
 回転ドアなどは既製品があるが基本的には、受注製品

●結晶化ガラス
 ガラスは本来、透明ですが結晶化させることで大理石のような質感を出すことができ、IHやガステーブルのガラス天板などもこの結晶化ガラスが使用されています
 結晶化には、表面結晶化タイプ(不透明)と体積結晶化タイプがあり、後者は防火戸にも使用できるガラスです






特殊機能ガラス



●調光ガラス
 2枚のガラスの間に液晶シートを中間膜ではさみこんだガラス
 この液晶に電圧をかけることによって、透明、不透明を瞬時に切り替えることが出来る


●視野選択ガラス
 液晶シートの配列をある角度で固定したもの
 ある、一定方向からの視野を遮ることが出来る


●低反射ガラス
 フロートガラスの両面に特殊な薄膜を多層コーティングし、ガラス表面の反射を抑えたもの
 額縁ガラス、ショーウインドなどに利用
 同じように反射を抑えたガラスで、ノングレアガラスもある これは、ガラス表面にごく細かい凸凹を付け、光を拡散する ガラスに密着させる、絵画、写真など額縁用として利用されている


●高透過ガラス
 板ガラス特有のグリーンの色を取り除いたもの
 博物館や美術館のショーケースなど、色の再現が厳密に要求されるところに使用される


●LOWーEガラス
遮熱複層ガラス「外側にLow-E」室外側に遮熱タイプのLow-Eガラスを使用したもので日射熱の約半分を反射し夏の冷房効率を向上させ、また冬は暖房により暖まった室内の熱を逃がさない効果がある
高断熱複層ガラス「内側にLow-E」室内側に高断熱タイプのLow-Eガラスを使用したもので太陽熱を積極的に採り入れながら、室内の暖房熱をより多く反射する機能を持つので、暖房効率が向上しいわゆる寒冷地使用タイプ


●新防耐火ガラス
 フロート板ガラスに特殊なエッジ加工と超強化処理を加えた防火設備、特定防火設備用の耐熱強化ガラスのことで網入りにしないで耐火性を持つガラスです
 他に、高透過板ガラスとけい酸ソーダ(水ガラス)層とを交互に積層した耐火ガラスがあり、ガラス面の温度が120℃を超すと、けい酸ソーダ層が発泡し、火炎や煙、輻射熱を遮断し、裏面のガラス面は百数十度以下に1時間保持されるというものです

●防音合わせガラス
 2枚のガラスで特殊中間膜をはさみ込んだ合わせガラスです
 騒音によって起こる振動を熱に置き換え、音の波を消滅させる原理を用いたもので、音域全体を遮音性能でカバーします






装飾ガラス



●カラーガラス
 ガラスの裏面に、ガラスのために開発された特殊な塗料を何度も重ねて焼き付けたもの
 内装空間のカラーコーディネーションに生かされる


●ニューステンド
 一見ステンドグラス風
 一枚の板ガラスに色を特殊焼き付けして、模様を再現したもの強度的な弱点を克服した装飾ガラス


●フロストガラス
 サンドブラストした表面をさらにフッ化水素で化学処理し滑らかにしたもので、手垢が付きにくくなる


●壁装ガラス
 石材、木質材など自然素材の表面パターンや抽象柄など転写技術によってガラスの裏側に忠実に表現したもの


●装飾合せガラス
 合わせガラスの中間膜に、いろいろな色彩パターンを印刷したものを合わせて、装飾性を出したもの
 中間膜が印刷のためあらゆる色彩、パターンに対応できる
 一般的には、3mmの透明板ガラスを2枚合わせた約6mm厚のものが使われる
 ステンレスやパンチングメタルなどをはさんだ商品もある

●フュージングガラス
 イタリアなどからの輸入品が主で国産品もでてきている
 30mm角、80mm角程度のハンドメイドのガラスパネル
 工芸品に近いかたちで手作りされる






その他



●ガラスブロック
 20世紀初めに、イギリスで作らた
 2個の四角形の椀状の型押グラスを高熱で合わせて溶着、一体とする
 内部(中空)が0.3気圧程度と真空に近いので、断熱、遮音、結露防止効果が大きい
 柔らかで均質な光を室内に導くことが出来るので、インテリアとして使用されることも多い


●プロフィリット
 断面がコの字形した長いガラス部材で、外壁や間仕切りに使われる
 ひび割れて破損したり、目地の処理の問題から一時生産中止になったが最近使い方が工夫され注目されているガラス製品


●ステンドグラス
 ヨーロッパのゴシック建築には、欠かせない素材
 ガラス片に、無機塗料で絵を描きH型の鉛のジョイナーで組み合わせて、絵柄を構成するものと、色ガラスをH型の鉛のジョイナーで組み合わせたものがある
 つなぎ合わされたものを「ステンドグラスパネル」と呼び、開口部などにはめ込まれるが強度はないので、補強が必要


●エッチンググラス(サンドブラスト)
 ガラス表面をサンドブラストして不透明にした後フッ化水素で処理したもの
 全面にエッチングしたものを、フロストタペストリーといい、絵柄のあるものをエッチングと呼ぶことが多い


●Vカット
 グラインダーの砥石にガラス面を押しつけてカットしていく、切り子のガラスカットと同じ
 板面のガラスVカット加工は、コンピューター制御によって自由に加工できる
 ガラス面の、加工ガラスサインの飾り罫に使われたりする


●アクリル
 光透過率が大きく軽量で耐候性があるが、熱可塑性があり100℃以上で軟化し、また熱膨張率が大きいく傷つきやすい
 水族館などの大水槽などは貼り合わせたアクリルが使用されている


●ポリカーボネート
 比重はガラスの1/2熱伝導率は1/4でガラスより破損しにくく透過率が高く軽量保温性、耐衝撃性に優れ、燃えにくい特性をもち、自己消化性がある
 紫外線を受けると変色するため着色した板や表面を他の樹脂で保護した製品が多く保温性があることから中空板も作られている
 身近なものでは、CDなどもポリカーボネートでできています

●FRP
 FRPとはプラスチックをガラス繊維で補強した複合材料の総称で、ガラス繊維強化ポリエステルのことです
 軽量で強度があり、耐食性、耐薬品性に優れ且つ電気絶縁性があり、電波を通します
 採光材料としては、光透過性は大きくなく拡散性があり、熱膨張率は小さく、変退色しやすく、建築用では波板形状のものが屋根材として使用されています






硝子構法



●SSG構法(ストラクチュラル・シーラント・グレーシング)
 ガラスを支持するものが何も表面に現れない構法で内部の支持部材に、ストラクチャーシーリング(構造シーリング)と呼ばれる接着材によって強力に固定する構法

 Structural Sealant Glazing System


●DPG構法(ドット・ポイント・グレージング)
 ガラスの4コーナーに穴をあけ金具で支持します
 強化ガラスを用いた4点支持による工法で、フレームレスのガラスカーテンウォールが可能になりました

 Dot Point Glazing System


●MPG構法(メタル・ポイント・グレージング)
 MPG構法はガラスに穴を開けず、ガラスのエッジを金具で挟み込んで支持する方法です
 その他の部位はガラス突き付けとすることで、より透明度を高めたガラスカーテンウォールが可能です

 Metal Point Glazing System

●リブガラス構法
 平面に並んだガラスを直角のリブによって固定する構法
 その直角部分の接着に使用されるのもストラクチャーシーリング(構造シーリング)です





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