Interior Zukan
                                             

西洋史 [近世・2]


古代中世近世・1近世・2近代現代


バロックロココネオクラシズムアンピール様式アーリーアメリカン



バロック 17世紀〜18世紀

◆ポルトガル語のバロッコ(いびつな真珠)に由来する名前。カソリック教会と専制君主の宮廷を中心に17世紀〜18世紀にかけて栄えた様式。ローマから始まり、スペイン、オランダ、フランスに広まる。また、装飾などは、このころから、国ごとの様式が発生し、多くは、その時代の権力者の名前や、または、デザイナーの名前が付けられています。



●聖スザンナ寺院
 イタリア・ローマ
 1595年〜1603年
 カルロ・マデルナ
 ルネッサンス後期から初期バロックへの過渡期の重要作家
 1607年〜1617年には、サン・ピエトロ大聖堂の造営主任を務める


●聖ピエトロ寺院
 イタリア・バチカン
 3度目のピエトロ寺院です
 1657年〜1667年
 この時期は、ベルニーニがピエトロ広場を囲む半円形の円柱回廊を建造している


●セントポール寺院
 イギリス・ロンドン
 1675年〜1710年
 C.レン
 十字形プランを基本とし、中央に大きなドームを持つ


●ベルサイユ宮殿
 アルドマン・マンサール
 1626年ルイ13世の離宮として建てられたのが最初
 ルイ14世の時に形式を整えた
 バロックおよびロココの粋が凝縮されている
 室内装飾に関しては、宮廷画家のシャルル・ル・ブラン、宮廷家具師のシャルル・ル・ブールが手がけている


●ベルサイユ宮殿 礼拝堂
 シャルル・ル・ブラン
 1710年に完成
 ルイ9世にささげられた礼拝堂
 聖書の物語をモチーフにデザインされた
 床は、様々な大理石におおわれる
 王太子の結婚式の場でもある


●ベルサイユ宮殿 戦争の間
 シャルル・ル・ブラン


●ベルサイユ宮殿 平和の間
 シャルル・ル・ブラン

●ベルサイユ宮殿 鏡の間
 シャルル・ル・ブラン






  写真集


バロックの家具様式
◆フランス
 ルイ13世様式・ルイ14世様式  装飾芸術の頂点ともいえる、華麗な様式。黒檀、べっこう、黄銅、象牙などの象嵌が施され、金銀のメッキで飾られた物もある。
◆イギリス
 ジャコビアン様式 スパイラル状のねじり脚やらっきょう型のひきものに特徴がある。
 ウィリアム・アンド・マリー様式 オランダの影響を受け、女性的で、上流趣味。


バロックの工芸



●ベネチアのガラス
 イタリア・ベネチア産のガラス
 起源は10世紀にさかのぼるが、シチリア地方のガラスから学んだ
 絵付きのガラスが13世紀頃から生産され、15世紀にはソーダ炭酸ガラス(クリスタル)が発明される
 以後現在も続いている


●デルフト陶器
 オランダ・デルフトの窯 スズ釉陶器
 17世紀中頃から、マヨリカ風の陶器を製造
 後絵付けや多彩色の伊万里焼の模造品を作った
 17世紀末にオランダの絵画を取り入れた作風と、東洋的な作風が支流になる
 18世紀以後次第に衰退していった

●マジョリカ陶器
 イタリアのスズ釉陶器
 中世末
 マジョリカ島商人によって輸入された、イスパノ・モレスク様式(イスラム教徒支配下のスペイン)の陶器をイタリアで呼んだ
 さらにその技法によって14〜16世紀の物もこの名で呼ばれるようになった
 多彩色、人物や文様を描き、光沢の強い製品






ロココ 18世紀

◆ロココとは、ベルサイユ宮殿の庭園を飾った、貝殻模様のロカイユ(人工の築山)に由来。退廃的傾向が増し、貴族階級の享楽的な生活態度を反映して、軽快優美な、装飾的傾向が強い。建築構造上の特徴は乏しい。



●ベルサイユ宮殿
 マリーアントワネットの部屋


●オテル・ド・スービーズ
 フランス パリ 1735年〜1740年
 ジェルメン・ボフラン
 壁面と天井との境目はうねるような曲線となり、各種の曲線文様と半丸彫りの彫像群で覆われる
 天井と壁面の境界をなくすことで、室内は一体的に扱われているフランスロココの傑作


●フォンテンブロー宮殿会議室
 フランス
 建物はルネッサンス様式
 この「会議の間」は天井、壁などが18世紀、ルイ15世のロココの時代に改築されている


●シェーンブルン宮殿内装
 オーストリア・ウィーン
 ハプスプルク家の離宮
 建物は後期バロック様式、内装はロココ様式
 この部屋は当時流行した、シノアズリーといわれる内装
 フランス語の中国趣味の意味で、中国の美術工芸品、陶器の愛好・収集の風潮から生まれ、18世紀には下火になり、19世紀中期にはジャポニスムがとって変わった


●サン・スーシー宮殿
 ドイツ・ポツダム市
 クノーベルスドルフ
 1745年〜1747年
 ブロセイン国王フリードリヒ2世が離宮として建てた
 ロココ様式の建築

●アマリーエンブルグ荘
 ドイツ ミュンヘン 1734年〜1739年
 フランソワ・ド・キュヴィイエ
 フランス人建築家の作品
 ニンフェンブルク宮の庭に建てた、フランスロココ以上に曲線文様を駆使して優雅なスタイルとした建物


ロココの家具様式
◆フランス
 ルイ15世様式 バロックを引き継ぎ、婦人を中心とした優美な装飾。ライトグレーやクリーム色のような淡い色や白地に、金箔を押した、軽快で、華麗な装飾。
◆イギリス
 クイーン・アン様式 彫刻が増え背板の透かし彫りは、流れるような曲線模様。脚部はガブリオール(猫脚)になっているのが特徴。
 チッペンデール様式 クイーン・アン様式の後活躍した家具デザイナーの名前が様式になった物。宮廷から庶民の家具へと工場で量産された。脚部はガブリオール(猫脚)で鷹の爪が球をつかんだ物が多いまた、中国の影響を強く受け、中国建築を模した物が取り入れられ、チャイニーズチッペンデールと呼んでいる。


ロココの工芸



●セーブル
 フランス・パリ西郊のセーブルにある王立磁気製作所
 ポンパドール夫人が「ドイツマイセンに対抗しうる窯を」と王に進言し1756年セーブル窯を興す
 品質保持のため、年間生産量が決められており、入手が難しい

●マイセン(ロココ人形)
 ドイツ・マイセン磁土をドレスデン付近で発見し、翌年ドレスデンにザクセン王立工場が建築されたのに始まり、同年マイセンに移った
 東洋趣味の意匠やギリシャ趣味の皿や人形も作られた
 今でも染め付けの磁器は、高級磁器としてファンが多い






ネオクラシズム 18世紀中期〜19世紀初期

◆古代ローマの遺跡の発掘の影響を受けて、古典様式への関心が高まり再びシンメトリーの構成と古典的なプロポーションが重視されるようになった。この様式をネオクラシズムと呼んでいる。



●プティ・トリアノン
 ベルサイユ宮殿の敷地内
 1768年
 アンジュ・ジャック・ガブリエル

●プティ・トリアノン室内
 ヴェルサイユの敷地内にはトリアノンと呼ばれる離宮が点在している
 窮屈な宮廷から離れて、王族は、ここでのひとときを楽しんだ
 宮殿本館と比べ優雅で落ち着いた雰囲気


ネオクラシズムの家具様式
◆フランス
 ルイ16世様式 マリーアントワネットと共に処刑されたブルボン王朝最後の王ルイ16世。このころの様式。ローマ時代の古典復帰を様式に取り入れられた。ガブリオーレが無くなり、直線の挽物、脚は、フルーティングと呼ばれる縦溝の溝堀が付き、裂地(キレジ)は、ストライプが多く植物模様など自然さが加わった。白塗り金箔押しなどが使われる。
 ディレクトワール様式 フランス革命後の執政官による時代の物。
◆イギリス
 アダム様式 スコットランドの建築家4兄弟のスタイル。直線的、脚部縦溝の先端は葉模様になっている。彫刻の代わりに象嵌を使い、細身で、装飾に重点を置いている。そのほか、ウエッジウッドの陶器彫刻も見られる。
 ヘップルホワイト様式 アダムと同時代に活躍した家具デザイナー。背に盾型やハート形の背もたれがつく。彫刻や象嵌を多用、いすの張り地は縦ストライプで、カーテンと同じ裂地を使うことが多い。
 シェラトン様式 ストックトン市の家具職人。書棚とテーブルを兼ねた「ライティングビューロー」化粧台とカードテーブル兼用の家具など、機能的に優れた物が多い。いすは、縦木と横木のバランスがよく。四角張った形が特徴。寄せ木象嵌を多く使い、彫刻は少ない。
 ジョージアン様式 アダム、ヘップルホワイト、シェラトンなど18世紀末に活躍した家具作家の時代を、ジョージ1世、2世、3世の時代からいう。






アンピール様式 19世紀

◆フランス革命によって(1789年)ブルボン王朝は終幕を迎え、次にブルジョワ階級が指導権を握った。イギリスでは、産業革命が始まり、資本主義が確立していった。美術工芸も、王侯、貴族から庶民生活の中に融合し始め、古典主義が引き継がれる一方、異国情緒を求めるローマン主義も流行した。19世紀後半には様々な様式を折衷する傾向がみられる。
◆1804年ナポレオンが帝位ににつくと古代ローマの様式を再現しようとする傾向が一層強まった。この形式をアンピールと呼んでいる。



●エトワール広場凱旋門
 パリ
 1836年
 ナポレオン1世がフランス軍の戦勝を記念して、建築した物
 古代ローマの凱旋門にならいリュードの作った壁面の浮彫「ラ・マルセイエーズ」が有名


●ブランデンブルグ門
 ドイツ北東部 ベルリンのブランデンブルグ


●イギリス国会議事堂
 イギリス・ロンドン
 1840年〜1860年
 バリー
 ゴシックリバイバルの代表的建築

●フォンテンブロー宮殿・ナポレオン1世の部屋
 謁見の間


アンピール様式の家具
◆フランス
 アンピール様式 ナポレオン1世の時代に起こった様式。ナポレオン権威の誇示のため古代エジプトやギリシャの装飾様式を取り入れる。全体として、重々しく武骨な感じ金メッキのブロンズ金物が代表的で、月桂樹、スイカズラ、唐草、羽根を付けた人物像、輪をくわえたライオン、柱頭につくエジプトのスフィンクス、脚部の動物の足首などがある。しかし、ナポレオンの衰退と共にすたれた。
◆イギリス
 リージェンシー様式 ジョージ3世後の摂政時代の様式。代表的な作者に、トーマス・ホープがいる。エジプトの美術を取り入れた家具が多い。
 ビクトリア様式 ビクトリア王女時代の19世紀中期から家具様式の混乱期に入っていく。造形上の前進は見られず、古い様式の物のリプロダクションが多く行われた。手工業から機械生産に移る過渡期で、品質の悪い家具が出回った。
◆ドイツ
 ビーダーマイヤー様式 ビーダーマイヤーとは、くつろぎと親しみを追求したブルジョワ階級の生活を意味する言葉であったが、ドイツで人気のあった小説の主人公「愚かなビーダーマイヤー」に由来するといわれている。簡素で、素直で、装飾も控えめ。


アンピール様式の工芸



●ゴブラン
 タピスリーすべてのことをさすが、本来は、ゴブラン家で織られた作品をいう
 ルイ14世の時に王立の製作所となり、シャルル・ル・ブランを所長としてその全盛期を迎えた
 19世紀には、衰退したが、20世紀になって再興された

●ウェッジウッド陶器
 ウェッジウッドとはイギリスの陶芸家の名前
 白色の浮彫のカメオの手法を取り入れた(ジャスパー・ウェア)が有名
 食器に限らず、照明なども作られている
 最近は、いろいろな小売店で、自由に手に入れられる






アーリーアメリカン

◆住宅は、ジョージアン様式などが多く取り入れられている。教会や公共建築は、ネオクラシシズムやローマン主義、折衷主義の影響によるもので、独自の展開はない。家具などはコロニアル様式やフェデラル様式、シェーカー様式などがあり、19世紀後半には、フレンチプロビャンス、スパニッシュ家具などが、アメリカナイズされて定着している。このころの様式を総じて、アーリーアメリカンスタイルと呼んでいる。


アーリーアメリカンの家具様式
◆アメリカ
 コロニアル様式 アメリカが独立するまでの植民地時代の様式をコロニアル様式と呼んでいる。このころは、ジャコビアン、ウィリアム・アンド・メリー、クイーン・アンの様式を取り入れ、簡単で飾りのない家具や建築が多い。
 フェデラル様式 18世紀にはイギリスから、ウインザーチェアーが入り、流行した。18世紀後半は、チッペンデール、アダム、ヘップルホワイト、シェラトンなどが流行。この様式を、フェデラル様式と呼んでいる。
 シェーカー様式 アメリカで教団活動をしていたシェーカー教徒が作り出した家具。直線構成で、装飾は皆無、機能性を重視した素朴な形。背はラダーバック、い草のリード張り、脚部は、挽き物が多い。



古代中世近世・1近世・2近代現代



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