Interior Zukan
                                             

西洋史 [近代]


古代中世近世・1近世・2近代現代


19世紀〜20世紀アーツ・アンド・クラフツ運動アールヌーボーユーゲント・シュティールアングロ・ジャパニーズシカゴ派ゼツェッションドイツ工作連盟表現主義構成主義デ・スティールバウハウスアールデコ近代



19世紀から20世紀

◆産業革命による新しい工業の展開は、造形の面にも本質的な転換をもたらした。19世紀からの市民文化の中心は、民主主義の思想を背景に一層民衆との結びつきを強めることになった。



●クリスタルパレス
 イギリス・ロンドンハイド・パーク
 1851年
 パクストン
 第1回の万国博覧会のために建てられた
 鉄とガラスのみによる建物 「水晶宮」とも呼ばれる
 英国産業革命の象徴。1854年シドナムに移され、1936年焼失

●エッフェル塔
 フランス・パリ
 1889年
 エッフェル設計
 1889年パリ万博のため建てられた
 力学的構造がそのまま建築美の領域に導入されまた、ベッセ鋼使用により鋼構造物時代を開いた記念碑的存在






アーツ・アンド・クラフツ運動

イギリス 19世紀中期〜19世紀後期 ウイリアム・モリスの起こした「美術工芸運動」過剰な装飾をやめ、生活に密着したシンプルな型や構造に重点を置いた。機械を排除し、手工芸による中世様式の復活という、時代に逆行した形を取ったため、短命に終わっている。
ウイリアム・モリス イギリス 1834年〜1896年 詩人、工芸家、モリス・マーシャル・フォークナー商会を設立。アーツ・アンド・クラフツ運動を展開した。



●モリス「緑の食堂」
 イギリス・ロンドン
 1867年
 ウイリアム・モリス
 現ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館

●モリス壁紙「ジャスミン」
 1872年
 壁紙






アールヌーボー

ベルギー 19世紀末期〜20世紀初期 モリスの運動に刺激されベルギーやフランスを中心とした運動。「新しい芸術」という意味で、パリに開いた美術商店名に由来。またこのころ、「ジャポニズム」として、日本文化がもてはやされた。アールヌーボーもこの影響を強く受けている。画家のゴッホ、モネ、工芸では、エミール・ガレルネ・ラリック、などがいる。



●ビクトル・オルタ
 ベルギー
 1861年〜1947年
 アールヌーボー様式の建築を確立
 鉄を素材として曲線の構成を多用した建物が特徴
 自邸は、現在オルタ博物館となっている

●エミール・ガレ
 家具・ガラス工芸家
 フランス
 日本人留学者画家高島得三を通じて、日本美術の影響を受けた


スペイン アントニ・ガウディー 建築家 スペイン カタルニャ独自の建築技術やイスラム風の装飾性などいくつもの要素が混じり合い、植物を連想させる装飾モチーフや有機的曲線・曲面を多用した作品は、機能主義全盛の風潮の中では異端視されてきたが、今日では再評価されている。



●サグラダ・ファミリア教会
 スペイン・バルセロナ
 1882年〜
 アントニ・ガウディー
 未完成の教会建築で完成すると95mX45mのラテン十字プランの上に高さ170mの塔を含む18塔が林立する大聖堂となる

  写真集

●カーサ・ミーラ
 スペイン・バルセロナ
 1906年〜1910年
 アントニ・ガウディー
 絶壁のような形から「ラ・ペドレーラ」(石の家)とも呼ばれ、その彫刻的な性格によって、ファサードの伝統的な概念をうち破っている

  写真集






ユーゲント・シュティール

ドイツ・オーストリア 若い様式と呼ばれたアーツ・アンドクラフト、アール・ヌーボーの流れを汲む様式。ミュウヘンで発行された美術誌「ユーゲント」に由来する。簡素で頑丈なイギリス風の家具に、板張りの壁、皮やプリント更紗を張った肘掛けいす、古びた感じのがっしりとしたテーブルなど美的感覚の優れたものがある。






アングロ・ジャパニーズ

エドワード・ウイリアム・ゴトウィン イギリス 1833年〜1886年 アングロ・ジャパニーズ様式の礼讃者で、モリスの民芸調とは対照的で、日本の、指物師の技法を取り入れた家具を作り出している。また、古代ギリシャや、中世の物を取り入れたデザインも見られる。
チャールズ・レイニー・マッキントッシュ イギリス 1868年〜1928年 建築家、家具デザイナー、画家。古代ケルトのモティーフ、植物や人体にもとづく曲線なども用いた作品がある。家具は、パープル・グレーを主張色として、独特のモチーフである球形のバラが用いられ、ピンクや薄紫をアクセントとしてくわえる物など。一方では、地味な色で、直線的な様式の作品もある。


●「芸術愛好家の家」デザインコンペ スケッチ
 イギリス
 1900年
 チャイニーズ・レイニー・マッキントッシュ
 月刊誌「室内装飾」のデザインコンペに出された作品






シカゴ派

アメリカ・シカゴ 1880年〜1890年代に生じた建築傾向。鉄骨造の高層建築群が設計された。
ルイス・サリバン アメリカ 1856年〜1924年 マサチューセッツ工科大学を卒業後パリ美術学校に学んだ。機能主義建築を提唱したシカゴ派の中心人物。


●カースン・ピリー・スコット百貨店
 アメリカ・シカゴ
 1904年
 ルイス・サリバン






ゼツェッション(分離派)

オーストリア 19世紀末期〜20世紀初期 ウィーンの画家が主体となって組織された、新しい芸術運動で、グスタフ・クリムトを中心に、アカデミックな芸術から、離れて個性的な創造を目指した。アールヌーボーの曲線的形態や植物模様を拝した、幾何学的でシンプルなデザインで、ホフマンがフランスのアールヌーボーを否定し、そこから分離したことから、ゼツェッション(分離派)と名付けられた。建築家では、ヨゼフ・オルブリッヒヨゼフ・ホフマンが中心で「実用主義」を唱え、用と美の調和を目指した、オットー・ワグナーの思想を元に展開していった。
オットー・ワグナー オーストリア 1841年〜1918年 建築家、新しい建築は、現代の生活に根ざした新しい要求を満たすものでなければならないとし、幾何学的、直線的で明快な様式を追求して現代建築への道を開いた。
ヨゼフ・オルブリッヒ オーストリア 1867年〜1908年 建築家、工業デザイナー。師のオットー・ワグナー協力しゼツェッションの創立に参加した。



●ウィーンの郵便貯金局
 オーストリア・ウィーン
 1906年
 オットー・ワグナー

●ストックレー邸
 ベルギー
 1911年
 ヨーゼフ・ホフマン
 ウィーン工房の代表作といわれるこの建物は、「方形のホフマン」らしく幾何学的な外観でウィーン工房のメンバーによって、内装から家具、食器に至るまで総力をあげて仕上げられた
 食堂にはクリムトの絵が飾られている






ドイツ工作連盟

◆1907年建築家であったヘルマン・ムテジウスが中心となり結成される。工業品デザインの質の向上を図りドイツの産業振興を目指した。工業製品の標準規格化を促進した。
ペーター・ベーレンス ドイツ 1868年〜1940年 建築家。工業デザイナー。ゼツェッシンに参加。「ドイツ工作連盟」を設立。
ブルーノ・タウト ドイツ 1880年〜1938年 建築家。ドイツ工作連盟に「ガラスの家」を発表。著書に「アルプス建築」などがあり、ユートピア的な社会変革のプランを提示。また1933年〜1936年滞日して、「日本美の再発見」「日本の家屋とその生活」の著作で日本を紹介している。



●AEG電気会社タービン工場
 ドイツ
 1909年
 ペーター・ベーレンス
 鉄とガラスとコンクリートを用いた新しい工場建築
 鉄骨アーチそのままの外観を古典的造形にまとめている


●「ガラスの家」
 ドイツ
 1914年
 ブルーノ・タウト

●ランシー教会堂(ノートル・ダム教会)
 フランス
 1923年
 オーギュスト・ペレ
 鉄筋コンクリートの特性を生かした建物
 20世紀初頭の新建築を指導






表現主義

ドイツの芸術傾向。自然主義や美術での印象主義への反動を出発点とするが、建築では合理主義への反発が見られる。その造形には自由な曲線などが好んで用いられた。
エリッヒ・メンデルゾーン ドイツ 1887年〜1953年 建築家。ユダヤ人商人の家に生まれる。アインシュタイン塔は表現主義の代表作といわれる。


●アインシュタイン塔
 ドイツ・ポツダム
 1921年
 メンデルゾーン






構成主義

ロシアで1921年頃から起こった前衛芸術運動。金属、ガラスなどの新しい素材で空間を構成することを主張した。
ウラジミール・タリトン ロシアの造形作家キュビスム等新しい芸術運動に刺激され、金属、ガラス等でコラージュ等を作成した。


●第3インターナショナル塔(案)
 ソビエト
 1920年
 タリトン






デ・スティール

◆1917年オランダで起きた抽象芸術運動。モンドリアンの新造形主義に共鳴する芸術家たちが集まり発行された、機関誌「デ・ステイル」に由来徹底した直線主義、赤、黄、青の色彩など限定した要素による表現が特徴。
モンドリアン オランダ 1872年〜1944年 画家。絵画における絶対主義を追求して、抽象へ進む1917年、デ・スティール運動を起こす。
ゲーリット・トーマス・リートフェルト オランダ 1888年〜1964年 建築家。父の家具工場で働いた後、家具工場を経営し家具デザイナーとして簡素な機能美を追求。後、建築に移り、デ・スティールに参加。


●シュレッダー邸
 オランダ
 1924年
 リートフェルト
 今も、ユトレヒトの町はずれにあるこの住宅は、1階2階を合わせても、40坪ほどで、小振りな感じがしますが、室内は引き戸によって、仕切られるようになっています
 当時ではかなり斬新な建築だったようです






バウハウス

ドイツ 1919年〜 ドイツワイマールに開校された芸術学校。1925年デッサウに移った。1932年ナチスの圧迫を受け閉鎖、一時ベルリンに設けたが1933年解散。その間の活動は、建築、絵画、工芸、近代デザインなど近代芸術に与えた影響はきわめて大きい。1937年には、アメリカに亡命したモホリ・ナギらの教授を迎えてシカゴに「ニュー・バウハウス」(現在のシカゴデザイン研究所)が設立された。日本のデザイナーも強い影響を受けている。
ワルター・グロピウス ドイツ 1883年〜1969年 ベルリン生まれ。建築家。ベーレンスの事務所を経て独立。ワイマール政府に招かれてバウ・ハウスを設立。校長を務める。
マルセル・ブロイアー 1902年〜1981年 バウハウスの家具をデザインする代表デザイナー。1920年バウハウスに入学。後にマイスター(教授)に就任。自転車のフレームから発想を得て鋼管工の職人と共にスチール・パイプを使った家具をデザイン。
ミース・ファン・デル・ローエ アメリカ 1886年〜1969年 ドイツ生まれのアメリカ建築家。ベーレンスに師事した後1911年独立。後バウハウスの校長なども務める。1938年シカゴのイリノイ工科大学教授となる。


●デッサウのバウハウス
 ドイツ
 1926年
 ワルター・グロピウス






アールデコ

◆1920年代〜1930年代 フランスを中心とするヨーロッパ、アメリカで広まった装飾様式。1925年パリで開催された「現代装飾・工業美術国際展」のタイトルを簡略化したもの。アールヌーボー様式への反発から、直線的で、明快な明快な色彩を特徴とする。


●クライスラービル
 アメリカ
 1930年
 ウィリアム・ヴァン・アレン
 頂部のゴシック風装飾やロビーのアールデコ装飾などマンハッタン摩天楼の代表的な建物






近代

ル・コルビジュジエ フランス 1887年〜1965年 建築家。パリで鉄筋コンクリート構造を学ぶ。「ピュルズム」純粋主義運動を始め「エスプリヌーボー」を創始。近代建築の特徴として「ピロティー・独立骨組・自由な平面・自由なファサード・屋上庭園」を上げ「家は、住むための機械である」との言葉は、有名。またプレハブとモデュロールを結びつけた集合住宅「ユニテ・ダビタション」などがある。
アルバ・アールト フィンランド 建築家。北欧の風土と伝統を生かした有機的な建築物や家具を発表している。「パイミオのサナトリウム」のためにデザインした成形合板のいすは、今も販売されている。
フランク・ロイド・ライト アメリカ 建築家。プレーリー様式と呼ばれる水平線を強調した安定した構成を用いた、作品がある。1916年〜1922年には来日「帝国ホテル」「自由学園」などを設計、日本の建築界にも大きく影響を与えた。



●サボア邸
 フランス
 1929年
 ル・コルビュジェエ
 サボアとはフランスの南東部、レマン湖の南の地方のこと


●トゥーゲントハット邸
 チェコ 1930年
 ミース・ファン・デル・ローエ
 「新しい形」を求め、今までにない素材から、建築を生み出そうとしたその素材とは、鉄とガラス
 この住宅によって、新しい時代の豊かな生活の在り方を提案した
 椅子は、ミース自らデザインしたスチール椅子とバルセロナ万博のためにデザインした椅子を配置した


●ニューヨーク世界博覧会フィンランド館
 1939年
 アルバ・アールト


●カウフマン邸「落水荘」
 アメリカ
 1936年
 フランク・ロイド・ライト
 ピッバーグ郊外にある別荘
 ライト晩年の作品
 石積の壁はこの土地にあった崖地の断層の表情を、現地産の石を積むことで再現している

●ジョンソンワックス社
 アメリカ
 1939年
 フランク・ロイド・ライト
 人間性の回復と、諸機能の有機的統一を求めて、有機的建築を唱えたライトの代表的な建築



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